- 黄金のトロフィー、その重さは「数字」か「物語」か
- 第1章:バロンドールとは何か──栄誉の起源
- 第2章:バロンドールの選考方法と評価基
- 第3章:票に宿る偏愛──メッシvsロナウド時代の真実
- 第4章:なぜこの選手が?疑問と批判の積み重ね
- 第5章:日本人とバロンドール──中田から三笘/久保へ
- 第6章:未来へ──アジアからの受賞はあるのか?
- まとめ:それでもなぜ、人はバロンドールに魅せられるのか
- 付録:バロンドール受賞者ランキング(国別・クラブ別)
黄金のトロフィー、その重さは「数字」か「物語」か
世界で最も栄誉あるサッカー個人賞──バロンドール。
その輝きを巡って、何人もの名選手たちが夢を抱き、ファンは熱い議論を交わしてきた。
だが、私たちは本当に「バロンドールの決め方」を理解しているのだろうか?
なぜある選手が選ばれ、なぜあの名手は落選したのか。
数字では測れない「価値」の正体を、今回は深掘りしてみたい。
第1章:バロンドールとは何か──栄誉の起源
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1956年、フランスのサッカー専門誌『France Football』によって創設
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「Ballon d'Or」はフランス語で「黄金のボール」の意味
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当初はヨーロッパ国籍の選手のみ → 1995年から全世界の選手に拡大
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2010年〜2015年:FIFA最優秀選手賞と統合 → 2016年以降、再び分離独立
📜初代受賞者:スタンリー・マシューズ(イングランド)
第2章:バロンドールの選考方法と評価基
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毎年『France Football』が発表する候補者リストに基づき投票
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投票者:各国を代表するスポーツ記者(現在は約30国から1名ずつ)
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投票方式:1位(6pt)、2位(4pt)、3位(3pt)、4位(2pt)、5位(1pt)
評価基準は主に3つ:
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シーズン中の個人およびチームでのパフォーマンス
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プレーヤーとしてのクラス(才能・フェアプレー)
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キャリア全体の印象(近年は比重減)
※2022年以降、評価対象期間が「毎年」ではなく「毎シーズン単位」に変更
🧠豆知識:FIFAの「The Best」とは異なり、ファンや監督の投票は含まれない
第3章:票に宿る偏愛──メッシvsロナウド時代の真実
2008年から2017年までの10年間、メッシとロナウドが交互に受賞。
この時代は、選考にも明確な“二極化”があった。
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実力は拮抗していたが、票が分かれることで他の選手の受賞チャンスが消えた年も
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例:2010年、スナイデルが三冠&W杯準優勝も、バロンドール圏外
🤷考察:票割れは必ずしも“平等”を生まない。スター二人の存在が、他の名手を“埋もれさせた”時代でもあった。
第4章:なぜこの選手が?疑問と批判の積み重ね
バロンドールには常に議論がつきまとう。
記者たちの「主観」が反映されるため、以下のような現象が起こる。
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実績より“印象”が勝るケース(例:2013年リベリー vs ロナウド)
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クラブや国の“ブランド力”が影響(例:中国のスターが過小評価)
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GK・DFは評価されにくい傾向(2006年カンナバーロ以降はゼロ)
🎭政治的要素:クラブや代理人のメディア戦略も無関係ではない、と言われることも
第5章:日本人とバロンドール──中田から三笘/久保へ
過去の代表例:
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中田英寿(ローマ):1998年、1999年に候補リスト入り
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香川真司(ドルトムント):2011年、優勝貢献も候補外
2024-25シーズン、三笘薫がプレミア年間最優秀ゴールに選出された。
これは単なる「華やかさ」ではなく、世界の記者が注目する舞台での“美しさ”の証明でもある。
また、久保建英もスペイン・ラ・リーガでの安定した活躍により、バロンドールの候補リストに名前が挙がる可能性を十分に持つ存在だ。
特に2024年シーズンは、レアル・ソシエダの中心選手としてチームを欧州大会へ導くなど、クラブと個人の両面で高い評価を受けている。
そのプレースタイルは“印象”よりも“実質”を重視するタイプだが、記者投票の傾向が変われば評価の波に乗る日も遠くない。
🌏重要視点:今やプレミアリーグは全世界記者の注目対象。三笘のように“映える”選手は、記者の票を動かしうる存在。
第6章:未来へ──アジアからの受賞はあるのか?
かつては“欧州と南米の独占”とされたバロンドール。
だが、近年のアジア選手の台頭はその認識を揺さぶっている。
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ソン・フンミン(韓国):2022年にアジア人初のプレミア得点王(受賞ならずも話題に)
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久保建英:ラ・リーガでの活躍を背景に、候補リスト入りの期待が高まる
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三笘薫:プレミアという舞台で「印象に残る」活躍が武器に
📈未来展望:
アジア選手がバロンドールを受賞するには、「欧州トップ5リーグでの継続的活躍」+「国際舞台(CLやW杯)でのインパクト」が不可欠。
だが、その可能性はかつてないほど現実味を帯びている。
まとめ:それでもなぜ、人はバロンドールに魅せられるのか
常に付きまとう賞に対する批判。
それでも、選手は、ファンは、バロンドールに魅了される。
バロンドールとは、選手の実績を超えて、“生き様”を問う賞なのかもしれない。
勝利の記録だけではなく、心を打つプレー、チームを超えて称えられる存在。
それを“記者の眼”で選び取る──だからこそ、正解がない。
ゆえに、語り継がれる。
黄金のボールは、単なるトロフィーではない。
サッカーという歴史に「誰を刻むか」
付録:バロンドール受賞者ランキング(国別・クラブ別)
こうやって並べてみると、
プレミアリーグが世界一位というのは、
中々、疑問点が残りますね。