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手本は、日本だった。──ウズベキスタンが初のW杯までに敷いた「知られざる設計図」

#ウズベキスタン#クサノフ#ワールドカップ#育成#日本#Uzbekistan

2025年6月、ウズベキスタン代表が史上初めてワールドカップの出場権を手にした。
アジア最終予選を勝ち抜き、長年の悲願であった本大会へのチケットをついに掴み取ったのだ。
過去に7度、予選の勝負所で敗退を繰り返してきた彼らは、長年「あと一歩で勝てない」「自分たちに何が足りないのか」という重い課題に直面し続けていた。
欧州のメディアはその躍進を「突然の新星」と報じたが、現代のフットボールに前触れのない奇跡など存在しない。彼らは自らの課題を解決するため、明確な戦略と強烈な努力をもって、国家の構造改革を進めていたのである。

課題解決の糸口と、「日本」という参考事例

どうすれば勝てるようになるのか。ウズベキスタンは解決策を探すため、アジアを見渡した。
そこで彼らが着目したのが、常にワールドカップに出場し続けている「日本」だった。

彼らは日本の環境を視察し、そこに自分たちに欠けている決定的な要素を発見する。
それは小手先の戦術ではなく、全国津々浦々に学校のグラウンドがあり、誰もが日常的にボールを蹴れる「圧倒的なインフラ網」と、そこからプロへ繋がるピラミッド構造だった。

日本という明確な参考事例を得た彼らは、2017年11月、日本サッカー協会(JFA)とパートナーシップ協定を結ぶ。
この優れた育成システムを、彼ら自身の努力によって自国へ持ち込む決意を固めたのである。

「日本のインフラ網」を再現するための大統領令

しかし、日本のような全国規模のインフラを、サッカー連盟の力だけで一朝一夕に構築することは不可能だ。
そこで彼らが取った行動は、国家の最高権力である「大統領令」を発動することだった。

2018年3月。
日本を手本としたインフラ網を自国で再現するため、大統領令という国家権力を使い、以下の具体的なアクションが一斉に実行された。

  • 全国14の全州への「国立サッカーアカデミー」の強制設立

  • 国営グラウンドの用途変更および民営化の法的禁止(サッカー用土地の保護)

  • 空き地の競売・開発時における「サッカー場建設」の義務化

才能をただ待つのではなく、日本で見た「才能が育つ物理的な環境」を、国家権力と予算を投じて強引なまでに作り上げたのである。

ハードの上でシステムを回し、レジェンドを招く

国家の力でハード(インフラ)を作った彼らは、提携のもと日本人指導者を招き、施設の管理や指導者ライセンスといったソフト(育成システム)を泥臭く自国に落とし込んでいった。
その結果、U-17やU-20でアジアを制する若き才能たちが次々と育ち始める。

そしてインフラと育成の基盤が整ったなか、彼らはフル代表を次の次元へ引き上げるための「最後の仕上げ」に着手する。
新監督として招聘したのは、ファビオ・カンナヴァーロ。
センターバックとして史上初めてバロンドールを受賞した、イタリア守備陣の生ける伝説である。

自らの努力で構築した育成システムから上がってきた若手たちに、足りなかったものは何か。それは「勝負を分ける一瞬の強かさ」と「絶対的な守備の戦術眼」だった。
カンナヴァーロは、若きチームにカテナチオの哲学という最強のソフトウェアを植え付けた。ウズベキスタンが作り上げた土壌に、守備の職人の極意が混ざり合った瞬間、チームは強固な集団へと変貌を遂げた。

メガクラブに到達した最高傑作フサノフ

この「インフラ構築の努力」と「レジェンドの教え」が融合した結果、とてつもない才能が産声を上げる。
アブドゥコディル・クサノフ。

圧倒的な対人能力と冷静なカバーリングを備えたこの若きセンターバックは、フランスのRCランスでの活躍を経て、2025年1月、約4000万ユーロの巨額でマンチェスター・シティへ加入した。
ウズベキスタン人として初めてプレミアリーグのピッチに立った彼は現在、ペップ・グアルディオラの緻密な戦術のなかで、一歩も引くことなく世界のトップアタッカーたちを潰している。

独自の進化を遂げた、最大の壁

ワールドカップ初出場という快挙も、メガクラブの最終ラインに立つフサノフの姿も、決して偶然の産物ではない。
長年の課題に向き合い、日本という参考事例から学び、国家の力でインフラを作り上げ、レジェンドの知を注ぎ込んだ。彼ら自身の絶え間ない努力が実を結んだ結果なのである。

北中米で開催されるワールドカップのピッチで、このチームがどんな結果を残すのか。

その躍進は、世界を驚かせるかもしれない。
そして同時に、我々日本にとっても一つの強烈な事実を突きつける。
かつて日本を参考にしたその国が、独自の進化を遂げ、近い将来、アジアで日本自身の最大の壁として立ちはだかる日は、そう遠くないだろう。

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