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FIFAは本当に邪悪な組織なのか──ワールドカップ以外の彼らを、あなたは知っていますか

#FIFA#WorldCup2026#育成

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2026年7月19日、ニューヨーク・ニュージャージー。
延長106分、フェラン・トーレスが決勝点を突き刺した。
スペインが前回王者アルゼンチンを1対0で破り、2010年以来となる2度目の世界王者に輝いた瞬間だ。

一カ月を超えた熱狂は、数々の名勝負と忘れられない景色を残して幕を閉じた。

しかし、この大会が私たちの記憶に刻み込んだのは、残念な事に感動だけではない。
FIFA(国際サッカー連盟)に対する強烈な不信感もまた、色濃く残る大会となった。

グループステージの座席でさえ40万円を超え、決勝に至っては1枚3億円という値札が並んだ公式再販市場。アメリカ代表選手のレッドカードをめぐり、トランプ大統領の電話一本で出場停止処分が覆ったかのように見えた政治介入の疑惑。

そして、不可解なレフェリングへの不満。
インファンティーノ会長がスクリーンに映し出されるたび、スタンドからは容赦のない大ブーイングが降り注いだ。

かつての汚職事件の記憶も相まって、「FIFAは終わっている」「金のことしか考えていない」と吐き捨てるファンの怒りはもっともだ。

彼らが積み上げてきた歴史を思えば、邪悪な組織だと断罪されても仕方がない側面はある。

それでも、今大会で私たちが目にした景色は、本当に彼らの「悪意」だけで作られていたのだろうか。

ピッチの中では、選手たちが自らの国に誇りを持ち、背負うものの重さに涙しながら死闘を繰り広げた。
そしてピッチの外でも、決して忘れられない美しい光景がいくつも生まれた。

開催国の一つであるメキシコ人たちの温かいおもてなし。
対戦相手であるコンゴの国歌斉唱が終わった瞬間に、コロンビアのサポーターたちが送ったリスペクトの温かい拍手。
ノルウェー人だけでなく、スタジアム中の多国籍なファンが一緒になって響かせた地鳴りのようなバイキング・クラップ。
日本代表サポーターの姿につられ、世界各国のファンが試合後にスタンドのゴミを拾い集める姿。

普段のニュースの中では、時に争いや分断の種にすらなる「国境」や「文化の違い」が、この空間では互いを楽しみ、リスペクトし合うための対象へと変わっていた。

疑惑と不信を生み出すFIFAがいる一方で、こうした世界共通の熱狂とリスペクトの舞台を用意し、美しい光景を生み出しているFIFAもまた、確実に存在しているのだ。

だからこそ、大会が終わった今、冷静に問い直してみたい。

FIFAは本当に、ただの「邪悪な組織」なのだろうか。

ワールドカップが開催されていない残りの「3年10カ月」、彼らが世界で何をしているのかを、私たちはどれだけ知っているだろうか。

FIFAの知られざる姿

ワールドカップの出場枠が48カ国に拡大した今大会、FIFAは2023年からの4年間でおよそ2兆円の収益を見込んでいる。

試合数が増え、放映権やチケット、スポンサーの露出が増加したことで、大会の巨大化がFIFAの金庫を潤したことは間違いない。

しかし、その莫大な売上は、幹部の懐を温めるためや、次回のワールドカップを運営するためだけに使われるわけではない。

約2兆円の収入のうち、実に約3割。
およそ6,000億円という途方もない資金が、世界中でフットボールが根付き、育っていくための「開発と教育」に投じられている。

それは各国のサッカー協会を存続させ、指導者を育成し、子どもたちがボールを蹴る場所を作るための資金だ。ワールドカップの熱狂が生んだ金が、次の世代の選手を育て、新たな国をあの華やかな舞台へと導いていく。FIFAの本当の仕事は、スタジアムの照明が落ちた後に始まっているのだ。

ワールドカップの「手前」にある日常

6,000億円がまず向かうのは、各国のサッカー協会と代表チームの日常である。

選手の遠征費やトレーニング用具、国内リーグや育成大会の運営費。経済基盤の弱い国では、代表チームを機能させ、国内のサッカー環境を維持すること自体が奇跡に近い。
だからこそFIFAは「FIFA Forward」というプログラムを通じ、2023年からの4年間で約3,500億円を各国の協会へ直接支援している。

育成年代のコーチを養成し、傷んだ芝生を直し、日が落ちても練習ができるようにグラウンドに照明を立てる。

今大会で悲願の初出場を果たしたウズベキスタンも、この支援を受け続けてきた国の一つだ。
国を挙げた強化策の背後には、FIFAの資金によるピッチや更衣室の改修があり、国内1,500校で子どもたちがフットボールに触れる取り組みがあった。私たちがワールドカップで目にするのは、ほんの「最後の90分」に過ぎない。その舞台へたどり着くまでの手前には、何年も前から泥臭く積み上げられてきた投資と育成の時間が横たわっている。

フットボールが命を守る「盾」になる

さらにその資金の使い道は、競技としてのフットボールにとどまらない。

その一部は「FIFA Foundation(FIFA財団)」を通じ、フットボールを入り口にして人々の生活そのものを支える活動に向けられている。

アメリカ・ミネソタ州にある地域センターでは、子どもたちが無料でスポーツを楽しみ、安全に放課後を過ごす。そしてそこでは、年間3万食もの健康的で温かい食事が無償で提供されている。

カメルーンでは、紛争から逃れてきた難民の子どもたちをフットボールで集め、マラリアやHIVについての教育を行い、蚊帳や生活必需品を届けている。

明日の食事や安全な眠りが当たり前ではない地域において、フットボールは単なるスポーツではない。人を集め、必要な支援と結びつけるための「世界共通語」なのだ。

こうした草の根の活動が、ワールドカップの中継で映し出されることはない。それでも、煌びやかなスタジアムから遠く離れた場所で、フットボールに救われている命が確かに存在している。

知った上で、正しく断罪しよう

世界でこれほど素晴らしい貢献をしているのだから、高額なチケットや政治との癒着疑惑にも目をつぶるべきだ──。

そんなことを言いたいわけではない。全くの逆である。

これほどまでに重要で、世界中のフットボールの命運を握る活動をしている組織だからこそ、FIFAには極めて高い透明性が求められるのだ。

一部のチケットがなぜあそこまで高騰し、誰が利益を得たのか。政治家の電話がピッチの判定に影響を与えたと疑われる事態が、なぜ起きたのか。彼らは、ファンが納得できる言葉で誠実に説明し続ける義務がある。途上国での尊い支援活動を、不透明な組織運営の免罪符にしてはならない。

フットボールを世界中に広めるためには、きれいごとだけでなく巨額の金が必要だ。

だからFIFAが稼ぐこと自体は悪ではない。
問われるべきは、その集めた富が「どこから来て、どう使われたのか」というプロセスの一点である。

FIFAは本当に邪悪な組織なのか。
その答えを出すには、4年に一度のワールドカップの「1カ月」だけを見てブーイングを浴びせるのでは不十分だ。

残りの「3年10カ月」、彼らが世界のどこで、誰のために、何をしているのかを知るべきだ。
世界に貢献している良い部分を正しく知り、評価すべき取り組みには確かな拍手を送る。その上で、彼らの不透明なプロセスに対しては、一切の妥協なく厳しい視線で問い詰め、正当に断罪していく。

世界中のフットボールを愛する私たちだからこそ、彼らの仕事を深く知り、その責任を誰よりも厳しく問い続けていく必要があるのだ。

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